建築家 谷口吉生さんが逝去されました。
建築学生とって、誰にでも開かれた空間体験が可能な「美術館」は貴重な存在で、私にとって美術館建築を数多く手掛ける谷口吉生さんの建築は、長い時のなかで身近な存在となっていました。
振り返ると実に様々な谷口建築を訪れています。
浜松市 茶室 松韻亭
東京都 法隆寺宝物館
山形県 土門拳美術館
長野県信濃美術館 東山魁夷館
香川県立東山魁夷 せとうち美術館
ニューヨーク 近代美術館
石川県 鈴木大拙館
香川県 丸亀市猪熊源一郎美術館
東京都 葛西臨海水族館
山梨県 清春白樺美術館・・
何度も訪ねた建築もあります。
身近な存在とはいえ、谷口吉生さんの作る建築は、簡単に再現するのが難しい。どれも端正な佇まいや研ぎ澄まされたディティール感覚の結晶のようで、また展示室までの空間演出がすばらしく
私に限らず、余白の取り方や空間の豊かさについてのひとつの指針になっている方も多いのではないでしょうか。
結婚を機に静岡県浜松市で暮らすことになり、遠方からアクセスしにくかった豊田市美術館や資生堂アートハウスなどが近くにあることは嬉しいことです。
風光明媚な場所に建つ建築が魅力的なのは言うまでもないところですが
無機質な駅前空間に圧倒的な空間の力で上質さを添えた、丸亀市猪熊源一郎美術館が最も印象に残ります。
どんな条件のもとでも、建築を差し込むことで、その場を美しい風景へ昇華することが設計の真髄と気づかされます。
先日偶然、写真の整理をしていたら、広島市環境局中工場の写真が出てきました。
工場の力強いスケール感と風景を切り取る美しさ。
またゆっくり訪れたいものです。
これまでも、これからも。