敷地内同居の場合

母屋の南側を子世帯とするケースが

多いように思います。

 

今回は西側への新築のご相談です。

 

母屋の南側は

大勢の来客に対応できる駐車スペースで

その使い方を継続されたいとの

ご希望からでした。

 

たとえば旅館の敷地内に

運営者の住まいがあるような

場所の持つ社会性

敷地を出入りする利用者との

関係性をいかに構築するかが

 

ポイントのように思われました。

 

 

 

 最初に見せていただいた

住まいのイメージ写真は

無垢の木をふんだんに使い、

外部との境界が曖昧で

生活力がおおいに試されそうな

写真家 笹倉洋平さんの住まい。

 

 また

家事動線は最優先でなくてよい

本当の意味で長く使える住まいがよい

 

それらから ありきたりではない

わくわくする空間の提案

を期待されていると感じました。

 

このことは

設計者としてやる気が奮い立つのに

十分だったことは

言うまでもありません。

 

     初めて建築予定地を訪れたとき

納屋と共生する植物の

あふれんばかりの生命力に

ここに建築してよいのだろうかと

少し不安な気持ちになりました。

 

敷地は東西間口8m強 南北に26m

7.2m四方の住まいも可能な広さです。

 

それに対し

建物の幅(=間口)をぎりぎりまでしぼり

 住まいの両側に余白を作りました。

そのことで建物まわりを

暮らしに応じ、物置や植栽など

多彩な用途に使うことができ

また東西面から各室への日射確保を

可能としています。

 

また既存の納屋と

配置を大きく変えないことで

西側温室への日射に配慮しています。


2階南面を全幅窓・吹抜け階段とし

取り込んだ太陽光は

天井の高い1階のダイニングの

奥深くに届きます。

 

 1階の南面の窓は、

プライバシーを確保しつつ

中からは風景を存分に楽しめる

高さにしています。

そのことで

木塀などで庭を公・私分ける必要がなくなり

外構費減と外部空間の使いやすさに

繋がっています。

 

和の雰囲気をとのご希望には

南北に水平に伸びる屋根と玄関庇で

来訪者を迎えること

また吹抜けの階段空間が

縁側のような中間領域を

形成することで 答えられたでしょうか。

 

階段空間は、日本庭園やおもての様子・

眼下の畑を見渡せるいわば

コックピットのような役割もあります。

      

時間の経過に耐え奥行を感じられる

地元の杉や漆喰塗壁で仕上げ

お持ちのアンティーク家具に

馴染む住まいとなっています。